請求書はPDFで送れるの?メールで送信する際の注意点とは
2022.09.21
2024.09.13
インターネットが普及し、DXやデジタル化が進むにつれて、それまでは郵送やFAXでやり取りしていた様々な文書がデータ化され、電子メールで送受信されるようになりました。もちろん、請求書も例外ではありません。しかし、電子データの請求書は法的に問題ないのでしょうか。今回は、請求書を電子データで送る際に知っておくべき注意点について解説します。
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目次
請求書はPDFで送っても大丈夫なの?
まず気になる点としては、請求書をPDFで送ることについて問題がないのかどうかということでしょう。以下では請求書をPDFファイルにして送ることが問題ないか、問題があるケースはどのような場合かについて解説します。
PDFで送っても法的な問題はない
結論から言えば、請求書をPDFファイルにしてメールで送ること自体は、法的には何ら問題のない行為です。大前提として、請求書は法的に発行が義務付けられている書類ではありません。ビジネス上の慣例として、商品やサービスの利用に対する支払いの請求を確実に伝えると共に、金額などに関して取引先との食い違いを防ぐという目的で発行するものです。つまり、取引内容、金額、日付などが正確に記載されたものであれば、媒体が紙でもデータでも立派な請求書である、とみなされます。紙媒体で作成した請求書元本をスキャナーなどで読み込んでPDFに変えたものでも、ワープロソフト等で作成された請求書PDFファイルでも、請求書として必要な情報が記載されていれば良いのです。
文字を正しく読み取れる必要がある
請求書をPDFファイルとして電子保存するにあたっては、文字を正しく読み取れることが重要となります。より具体的には、PDFファイルに書かれている文字や図表などについて、「誰が見ても正しく読むことができるかどうか」に注意が必要です。例えば、「文字がぼやけていて、Aさんは辛うじて解読できたがBさんは読めなかった」という状態の請求書PDFファイルは、請求書としての役目を果たしているとは言えません。画像全体の画質が荒かったり、スキャナーで取り込む際に原稿台の汚れが写り込んで文字がぼやけたりした場合、仮に請求書の元本に問題が無くてもPDFファイルは請求書として不適格とみなされますので、十分注意しましょう。
請求書をPDFで送るメリット
請求書をPDFで送ることに関して「問題がないこと」は上述の通りです。では、請求書をPDFで送ることの「利点」とは何でしょうか。以下では、請求書をPDFで送る様々なメリットに関して解説します。
コストを削減できる
請求書の発行を紙からPDFに切り替えることで受けられる恩恵としてまず挙げられるのは、コストの削減です。紙の請求書では印刷、郵送にコストがかかります。印刷の際に消費される用紙とインクの費用に、郵送で必要となる送料は、請求書1枚1枚は大したことがなくても、企業で行われる取引で都度請求書のやり取りが行われることを考えると、1ヶ月、1年で発生するコストは莫大なものとなるのです。PDFにして電子メールで先方に送ってしまえば、用紙とインクは使いませんし、送信の際にも費用は一切かかりません。請求書を紙でのやり取りからPDFへのやり取りに切り替えることは、大幅なコスト削減効果を見込めるのです。
検索しやすい
紙の請求書と比べて検索がしやすい点も請求書をPDF化するメリットと言えるでしょう。紙の請求書の場合、膨大な書類の中から目的の請求書を探し出すのは非常に大変な作業です。事前に整理整頓をしていたとしても、請求書だけでも大量にやり取りをしていますから、過去の請求書を参照することは困難を極めるでしょう。しかし、PDF化していれば、ファイル名から検索をかければ瞬時に見つけ出すことが可能です。また、メールで請求書をやり取りしていれば、メールの送受信履歴などからも「いつ、どこに送ったのか」「いつ、どこから受け取ったのか」といった情報を追跡することもできます。Web配信サービスを使用して請求書を送った場合は、「相手が請求書データをダウンロードしたか」といった情報も確認できるため、取引先と「請求書のやり取りがあったかどうか」の認識が食い違うこともありません。
修正や改ざんが難しい
電子データの中でも、PDFファイル特有の利点として、「修正や改ざんの難しさ」が挙げられます。ワープロソフトや表計算ソフトで作った請求書は、記載内容を簡単に書き換えることができてしまいます。悪意を持った人に金額や期日が書き換えられてしまえば、支払い絡みのトラブルが発生してしまうことでしょう。PDFファイルの場合は、編集可能な場所が限られており、記載された内容に手を加えることは容易ではありません。よって、請求書などの重要な書類を電子データ化する際のフォーマットとして適しているのです。支払いの際に無用なトラブルを起こすことはありませんし、正確性も担保できます。電子帳票システムなどでタイムスタンプなどを埋め込むこともできるため、盤石な不正対策を敷くことができるでしょう。
保管場所を必要としない
電子データならではの特徴には、「保管場所が不要であること」も挙げられます。紙の請求書を保管する場合、短期的な保存を行うにしてもキャビネットやロッカーの中にしまっておく必要がありますし、長期的に保存する場合は倉庫などに入れておくことになるでしょう。電子データの場合はキャビネットや倉庫といった物理的な保管場所を用意する必要はなく、パソコンやサーバーの中にファイルを保存するだけで済みます。保管や管理の負担が格段に減るという切り口でも、先述したコストカット効果につながるのです。何らかの理由で持ち出しを行う場合も、紙媒体の場合は保管場所まで自分の足で赴いて探し出し、取り出すという工程があります。しかし電子データであればサーバー等から検索してダウンロードするだけで済むため、時間や労力を大幅に削減できます。
スピーディーに送付できる
電子データの請求書はスピーディーに相手へ送付できるという強みを持っています。紙の請求書を郵送する場合、発送を行うためには請求書の印刷に始まり、印刷した請求書に捺印を行い、封筒に封入して宛名を書き、ポストや郵便局の窓口に投函するという手順を踏まなければなりません。加えて、投函から配達までの間には普通郵便の場合最低でも1日以上のタイムラグが生じます。PDFファイルの場合は電子メールに添付して送信するだけと手順を大幅に簡略化させることが可能です。また、ネット回線がダウンしていない限りは取引先にも瞬時に届きます。万が一修正や再発行を求められた場合も、内容を修正して即座に再送することができるため、相手を待たせないスピーディーな対応が可能な点も見逃せません。
PDFの請求書に記載すべき項目とは
PDFで請求書を作る場合の記載内容は、基本的には紙の請求書と大きく異なることはありません。以下では、請求書PDFファイルにおける必須項目と必須ではないが記載したほうが良い項目について、それぞれ解説します。
必須項目
まず、「送信者の氏名と名称」は必ず記載しましょう。誰が請求書を作成したのかをきちんと示して、組織内における責任の所在を明確にする必要があるためです。「取引の日付」も、取引履歴を確実に残しておくために必要となります。請求書の送信日は取引先の締め日や支払日と関わってくるため、支払いトラブルを防ぐためにも年度も含めて正確な日付を記載するようにしましょう。
必須の項目としては、「取引内容」も挙げられます。何についての請求かをはっきりさせるためにも、「いつ」、「何を」、「どれだけの金額で」提供したのかを明示しましょう。商品名や作業内容、金額も含めて、正確かつ具体的に記載する必要があります。そして、「受信する事業者や個人の名前」も忘れずに記載してください。相手の名前がない帳票を作ることは失礼にあたりますし、記録の意味でも「誰に対して送ったか」をはっきりさせることが重要です。
なお、2023年10月1日から導入が見込まれるインボイス制度においては、仕入額控除を受けるための「適格請求書」の要件を満たすために、「送信者の登録番号」「適用税率」「消費税額」などを記載することが求められます。2022年9月現在はまだ制度の導入は行われていませんが、インボイス制度の開始に向けて早めの準備をしておくようにしましょう。
記載したほうが良い項目
必須ではありませんが、記載しておくと良い項目として、「支払い期限」が挙げられます。支払い期限を設定し明示することで、相手は「いつまでに支払いを行えばよいか」が把握できるため、確実な入金を促すと共に入金遅れを抑制することが可能です。また、「振込先」も記載しておくと良いでしょう。取引先が入金の際に口座を間違えてしまうなどのミスを防ぎ、確実に入金してもらうためにもおすすめです。
請求金額について、金額の内訳も書いておくようにすると良いでしょう。商品単価や個数を明記すると、取引の状況をより詳細に把握できるようになります。また、先述したインボイス制度への対応の意味も込めて、消費税額も忘れずに記載しておきましょう。品目によっては軽減税率が適用される場合もあるため、「どの品目にどの税率が適用されているか」を把握できるようにすることも重要です。
請求書をPDFでデータ送信するときの注意点!
請求書をPDFファイルとして送信する場合、記載内容以外にもいくつか注意点が存在します。以下では、請求書をPDFでデータ送信する際に気をつけておきたい事柄について見ていきましょう。
取引先に事前に通知しておく
請求書を送る方法については、事前に取引先に通知しておきましょう。確認を進めずにPDFで送られてしまうと、請求書が送られていることに気づいてもらえない恐れもあります。また、取引先によっては紙の請求書原本を必須としているケースもあります。特に、それまで紙の請求書をやり取りしていた状態からPDFでのやり取りに切り替える場合は、混乱を避けるためにも2~3ヶ月前に通知し、引き続き紙でのやり取りを続けるか、PDFでのやり取りに移行するかの確認を取りましょう。また、移行にあたってはトラブルを防ぐため、請求書発行を行う担当者名や連絡先を知らせておくことをおすすめします。
パスワードを設定する
請求書のPDFファイルには、必ずパスワードを設定するなどのセキュリティ対策を施してください。請求書には取引内容や金額、口座番号などといった機密情報が記載されているため、悪意のある第三者に読み取られてしまうと致命的な損害が発生する可能性があります。これを防ぐためにも、PDFファイルそのものにパスワードを設定したり、PDFファイルをZIPファイルに圧縮してパスワードをかけたりするようにしましょう。この時、開封用のパスワードはPDFファイルを添付したメールに記載しないでください。事前に請求書開封用のパスワードを取り決めておく、別のメールで開封用パスワードを通知するなどの方法をおすすめします。
メールの件名に請求書データの添付を明示する
請求書データを送るメールには、件名に「請求書送付のご案内」などの文言を入れて、請求書データが添付されていることを明示することをおすすめします。件名に請求書が添付されていることが明記されていれば、取引先の担当者が見落としてしまうことを防ぐことが可能です。また、件名には請求月や請求内容、請求者も記載しておくと良いでしょう。「○○商事 4月分製品購入の請求について[請求書送付のご案内]」といった件名であれば、誰が、いつ、何の取引の請求をしてきたのかをすぐに把握できます。メール本文にも請求金額や支払期日を記載しておけば、チェック漏れなどを防ぐことができるでしょう。
送る相手を間違えない
メールを送信する前には、送信先のアドレスをしっかりと確認してください。先述したように請求書に機密情報が多く含まれていますから、間違った相手に送信されてしまうことは重大な情報漏洩につながります。加えて、本来の相手に届きませんから、当然取引先は請求されている事実を把握できず、入金してもらうことができません。送付する度に送信先のアドレスをきちんと確認するようにしましょう。また、送付先の担当者名についても入念に確認を行うようにしてください。特に、異動や退職などで担当者が変わった直後は要注意です。
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PDFの請求書にまつわるQ&A!
以下では、PDFの請求書に関してよくある疑問と、その回答を紹介します。
PDFの請求書に押印は必要なの?
紙で請求書をやり取りする場合、請求書送付のプロセスに「印鑑の押印」が含まれているのが一般的です。しかし、そもそも請求書は法的に発行が義務付けられている書類ではないため、押印は必要ありません。紙、PDFの違いを問わず、押印のない請求書も有効なのです。ただし、取引の証拠書類としての有効性を高める目的や、発行元が確かにその会社であることの証明が必要といった事情などから、PDFの請求書にも押印が求められるケースがあります。
押印された請求書を求められた場合は、PDFの請求書を一旦紙で印刷して押印した後に再度スキャナー等でPDF化するという方法があります。しかし、こちらの方法は手間がかかってしまうというのがネックと言えるでしょう。電子印鑑を利用すれば、印刷せずに押印することが可能です。ただし、取引先によっては電子印鑑を印鑑として認めていない場合もありますので、事前に確認を取ることをおすすめします。
PDFの原本は保存すべき?
請求書などの帳簿書類は、税法上7年間の原本保存が義務付けられています。原則として紙媒体での保管を行うように定められていますが、電子帳簿保存法の要件を満たしていれば、PDFなどの電子データで原本を保存することが可能です。2022年1月に施行された改正電子帳簿保存法では、データで帳簿書類をやり取りした場合、原則としてデータのまま原本を保存しなければならないと定められています。これは送り手と受け手の双方に適用されるため、電子帳簿保存法への対応が難しい企業に対しては、引き続き紙媒体で請求書の送付を行うなど、柔軟に対応するようにしましょう。
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