勘定科目とは何?5つの分類と押さえておきたい設定のポイント
2022.12.21
2024.09.13
仕訳入力をしていると、必ず「勘定科目」というものが出てきますが、一体これは何なのかと思ったことのある人もいるのではないでしょうか。勘定科目は、実は経理処理をするうえで必要不可欠といっても過言ではない重要なものです。ここでは、勘定科目とはどのようなもので、何のために存在しているのかを詳しく解説していきます。
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勘定科目とは?
勘定科目とは、簡単に言うと仕訳に用いられる「見出し」のことです。家計簿をつけたことのある人なら、たとえば収入なら「給与」「賞与」、支出なら「食費」「光熱費」「家賃」といった具合にそれぞれどんな性質を持ったお金なのかを分類して記入しているでしょう。それと同じように、会社における入出金をきちんと把握するためにも様々な分類が必要です。その分類の見出しが「勘定科目」というわけです。
会社のお金の分類は家計よりもずっと複雑で、見出しである勘定科目も数多くあります。そして、帳簿に記入したりそれを見たりするのは決まった人だけとは限りません。経理担当者が交代しても、あるいは担当者以外の人が見ても同じように理解されることが必要です。そのため、どの会社でもある程度共通した勘定科目を使用しています。同じ性質のお金は同じ勘定科目に設定しておけば、誰が見てもわかりやすいでしょう。
ただし、どのようなケースでどの勘定科目を使うかというのは、実は法律の定めがなく明確にルール化されてはいません。そのため、企業や会計ソフトによって異なる場合もあるので注意が必要です。
勘定科目が必要となる3つの場面
勘定科目は、お金の出入りを明確にするためになくてはならないものです。ここでは、勘定科目が必要となる具体的な3つの場面について解説します。
経営判断
家計簿の入出金を分類して記入するのはなぜでしょうか。それは、何にいくらかかっているのかを知ることで、無駄な支出や節約の余地を見つけ、家計を引き締めるためです。会社の帳簿も同様で、項目別に分類することで無駄な出費をしていないかを知ることができ、コストを削減することができます。
ただ、会社の場合はもう少し複雑です。単に無駄な出費を削るだけではなく、開発や営業等必要なお金はかけなくてはなりません。かけたお金に対しどれだけの儲けが得られるか、いわゆる「費用対効果」を見ることが大切なのです。勘定科目に合わせてお金の動きを仕分けしておけば、何にいくらかけてどのような効果が出ているかというのも分析しやすくなります。
事業を成功させるためにはお金を無駄なく、効率的に使っていくことが必要です。これまでのお金の流れを分析すれば、どこにお金をかけることでどれだけの収益が見込めるかが予想できます。それに従って事業の方向性を見極め、改善すべきポイントを洗い出すという経営判断のために、勘定科目は大いに役立つのです。
財務諸表の作成
企業は必ず年に1回決算を行わなくてはなりません。その際に欠かせないのが「財務諸表」です。財務諸表は企業の財政状態や経営成績などをまとめあげた計算書で、決算までの1年間のものが作成されることから一般に「決算書」とも呼ばれていますが、金融商品取引法上での正式な名称は「財務諸表」です。
財務諸表はいくつかの書類から成ります。中でも重要なのは「財務三表」と呼ばれる「貸借対照表」「損益計算書」「キャッシュフロー計算書」の3つです。この3つを読み解くだけでも会社の財産・収支の状況とお金の流れがわかります。財務諸表には他にも「利益金処分計算書」や「附属明細表」などが含まれます。
財務諸表はいわば企業の1年間の成績書ともいえるものです。例えば銀行に融資を申し入れるとき、銀行は財務諸表から企業の経営状態を判断して融資を行うか否かを判断します。また、上場会社であればネット上で公開し、投資家はそれを見て株式購入の判断材料にする、ということもあります。つまり財務諸表は利害関係者が見てわかるものでなければならないのです。そのためには適切な勘定科目を振り当てて、お金の出入りをわかりやすくする必要があります。
税金の管理
法人が納める税金には様々なものがあります。代表的なものに「法人税」と「法人住民税」がありますが、これは個人が給与から収める「所得税」と「住民税」に近いものです。どちらも法人の所得に対して課税されるもので、法人税は国に納めるもの、法人住民税は事業所の所在地である自治体に納めるものです。その他に法人が納める税金には「消費税」や「租税公課(固定資産税や自動車税など様々な税の総称)」などもあります。また、従業員の給与から源泉徴収した所得税や社会保険料なども納付しなくてはなりません。こうした様々な税金を正確に計算するためにも、勘定科目は欠かせません。
確定申告は年1回ですが、法人税などは一事業期間の途中で中間申告と中間納付を行います。中間納付では、前事業年度に確定した納税額のおおむね半分を納付するか、あるいは仮決算を行って納付します。中間申告の時点では税額が確定していないので、仮払法人税等で処理することになりますが、中間申告時と決算時とでは別の勘定科目に仕訳、計上することになるため注意が必要です。これは、仮払の時点では資産に影響はありませんが、支払うことによって債務が消滅するためです。このように、税金の申告・納付と勘定科目には密接な関係があります。
勘定科目の5分類
勘定科目は、その性質によって大きく5つに分類することができます。それぞれについて詳しく見ていきましょう。
1.資産
資産は、企業が所有する財産のようなものです。ただし、単に今ある現金や預金だけを指すのではなく、将来的に財産や収益をもたらすと思われるものも含まれます。代表的な勘定科目は現金、預金、売掛金、建物、土地などで、企業活動をするうえで頻繁に用いられるものです。また、資産は大きく以下の3種類に分けることができます。
「流動資産」は1年以内に現金化・費用化できるもので、現金化しやすいのが特徴です。勘定科目としては現金、預金、受取手形、売掛金、商品などがあります。「固定資産」は1年を超えて保有・使用するもので、現金化はできるもののすぐにはしにくいのが特徴です。建物、機械装置、車両運搬具、土地などがこれにあたります。「繰延資産」は数年にわたって費用計上できるもので、複数年にわたって企業経営に影響を与えるのが特徴です。繰延資産には開業費、株式交付費、社債発行費、開発費といったものがあります。
2.負債
負債に分類される項目は、支払義務や返済義務のあるものと、将来発生する可能性が高い費用や損失の引当金です。支払義務のある科目には、買掛金、借入金、社債などがあります。引当金は、高い確率で将来発生するであろう費用や損失のうち、当期の負担として配分すべきものを指します。退職給付引当金、賞与引当金、貸倒引当金などがその代表的なものです。これらを見てもわかるように、負債というのは将来的に会社のお金を減らすものです。将来的にお金をもたらす「資産」とは、まさに対極にあるものといえるでしょう。負債は大きく分けると以下の2種類になります。
「流動負債」は1年以内に返済しなければならないものです。支払手形、買掛金、未払金、預り金などがあります。「固定負債」は1年を超えた時期に払うものです。長期借入金、社債、退職給付引当金などがこれに含まれます。
3.純資産
純資産は貸借対照表の「純資産の部」に記載する項目です。大きく分けると「株主資本」と「株主資本以外」の2つになりますが、多くを占めているのは株主資本です。株主資本とは、株主からの出資金や配当されずに留保された留保利益のことで、資本金、資本準備金、その他資本余剰金、繰越利益余剰金といった勘定科目に分けられます。株主資本以外に分類されるのは、純資産のなかでも株主に帰属しない資産です。これにはその他有価証券評価差額金という勘定科目があります。なお、新株予約権は株主資本にも株主資本以外にも属しませんが、仕訳上は純資産に振り分けられます。
ここに挙げた項目の特徴は、株主の出資や事業を通じて得た利益ではあっても原則的に返す必要がないということです。つまり会社の純粋な資産なので純資産というわけです。資産を増やす元となるのは負債と純資産なので、このうち純資産の割合が多いほど経営は安定します。
4.収益
企業は商品の売買やサービスの提供などを行って収入を得ます。それを一会計期間で集計したものが「収益」です。収益は大きく以下の3つに分けられます。
「売上高」は、会社が本業の事業で生み出した収益です。「営業外収益」は、本業以外から発生する収益です。受取利息、受取配当金、雑収入(手数料など)がこれに当たります。「特別利益」は、会社の事業とは関係なく臨時に発生した収益です。固定資産売却益、有価証券売却益、前期損益修正益といった勘定科目があります。
5.費用
費用とは、利益を得るために使う様々な経費を指します。費用には多くの勘定科目がありますが、大きく分けると以下の4種類になります。
「売上原価」は、売上に対応する原価で、商品の仕入れや製造にかかった費用のことです。仕入高、期首商品棚卸高、期末商品棚卸高といった勘定科目があります。「販売費及び一般管理費」は、商品や製品を販売するために直接かかる「販売費」と、会社の管理活動にかかる「一般管理費」をまとめたものです。給与、家賃、交際費、消耗品費、広告宣伝費といった勘定科目がこれに含まれます。一般的に「経費」といえばこれらを思い出す人も多いのではないでしょうか。
「営業外費用」は、本業以外で定期的に発生する費用を指します。支払利息、手形売却損、雑損失などが含まれます。「特別損失」は、会社の事業以外で臨時的に発生した損失です。通常発生することを予測しがたい一過性の損失で、「特損」とも呼ばれます。勘定科目としては固定資産売却損、災害損失などがあります。
勘定科目を設定する際のポイント
実際に勘定科目を設定する際には、どのような点に気をつけたら良いのでしょうか。そのポイントについて解説します。
わかりやすい一般的な勘定科目を使用する
先に述べた通り、勘定科目に法的なルール付けはありません。従って自由に設定することができますが、だからといってあまり独自性の強いものはおすすめできません。というのも、勘定科目は誰が見てもわかりやすいものでなければならないからです。帳簿は経理担当者だけが見るものではありません。経営陣はもちろん、社外の会計士や税理士、あるいは銀行などの利害関係者が見ることもあります。そうした人たちが見たときに、取引の内容がよくわかるようにしておく必要があるのです。
こうした理由から、ルールはないといっても一般的によく使われている勘定科目はほぼ決まった形になっています。それを変更することは不可能ではありませんが、会計ソフトを導入したり、新たなソフトに置き換えたりしたときに面倒なことになります。独自の勘定科目を設定した場合は初期状態に対し変更を加えなければなりませんが、その作業には時間がかかるからです。従って、よほどの理由がない限りは一般的な勘定科目を選んで使用するのが無難です。
一度設定したら継続して使う
企業会計には「継続性の原則」というものがあります。それは、企業が一旦採用した会計処理のルールは毎期継続して採用し続けなくてはならないというものです。そこにはもちろん、一度設定した勘定科目を継続して使い続けることも含まれています。継続性の原則には「財務諸表の期間比較をしやすくするため」「会計操作を排除するため」という2つの理由があります。もしこの原則がなければ、会計操作を行ってある年の利益を多めまたは少なめに計上するということが可能になり、財務諸表の期間比較が正確にできなくなってしまうからです。
また、勘定科目はお金の流れを分析して経営判断に役立てるために有用であると解説しましたが、途中で科目名を変えてしまうとこれもできなくなってしまいます。正確に経費の流れを把握するためには、いったん使い始めた勘定科目は途中で変更せずに継続的に使い続けることが大切です。ただし、期の途中で業態が変わった場合などは例外的に勘定科目を見直すことができます。
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