【売掛金を回収】経理担当者が知るべき基本手順と対処法:時効にも要注意
2025.02.11
2025.02.11
売掛金の回収は、健全な資金繰りを維持するための重要な業務です。しかし、多くの経理担当者にとって、効率的な回収プロセスの構築や未回収リスクへの対応は悩みの種となっています。
この記事では、経理担当者が知っておくべき売掛金回収の基本手順や、回収できない場合の対処法を解説します。未回収リスクを低減するための予防策も紹介しますので、売掛金の回収にお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。
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目次
売掛金とは?基本知識と重要性
売掛金は事業経営において重要な要素です。ここでは、経理担当者が知っておくべき売掛金に関する基本的な情報を、具体例を交えながら詳しく説明していきます。
売掛金の定義と発生メカニズム
売掛金とは、商品やサービスを提供した際に、後日代金を受け取る「掛取引」で発生する未回収の売上債権のことです。「将来入金されるお金」であるため、貸借対照表の勘定科目では、資産側に流動資産として計上されます。
企業間取引では、即時支払いよりも一定期間後の支払いが一般的であり、この際に売掛金が発生します。都度、取引によって生じる手続きや経理処理を行う手間が省けて便利ですが、後払いで代金を納める信用に基づいた取引方法なので、未回収リスクに注意が必要です。
取引先の倒産などにより回収が不可能になる恐れがあるため、適切な管理と与信管理が重要といえます。
事業経営における売掛金の重要性
売掛金は、事業の財務健全性とキャッシュフローに大きな影響を与えます。適切に管理されていない売掛金は資金繰りの悪化だけでなく、最悪の場合、黒字倒産のリスクをもたらすためです。
売掛金の増加は売上の成長を示す一方で、資金回収のタイムラグによりキャッシュインフローを遅延させる要因にもなります。ただし、売掛金での取引により、取引機会の損失や資金不足による取引拒否を回避することも可能です。
このため、事業者は売掛金の回収期間を適切に管理し、キャッシュフローの安定化を図る必要があります。
売掛金の会計処理と仕訳の基本
売掛金の基本的な仕訳は、以下のように行います。
【50,000円の商品を掛売りした場合】
借方勘定科目
貸方勘定科目
摘要
売掛金
50,000円
売上
50,000円
商品掛売上
【入金があった場合】
借方勘定科目
貸方勘定科目
摘要
普通預金
50,000円
売掛金
50,000円
売掛代金の回収
売掛金が入金されたタイミングで、消込処理を行います。現金で支払われた場合は、借方勘定科目を「現金」と記しましょう。売掛金の回収が滞った場合、貸倒引当金を設定することもあります。
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売掛金回収・処理の基本的な流れ
売掛金の効果的な回収・処理を実現するには、適切な手順を踏む必要があります。ここでは、売掛金回収の基本的な流れを4つのステップに分けて解説します。
請求書の作成と送付・売上計上
請求書の作成と送付は、売掛金回収の第一歩です。請求書には、取引内容、金額、支払期限などを明確に記載します。送付タイミングは、取引完了後速やかに行うのが基本です。
また、商品発送時に売上を計上する場合は、このタイミングで帳簿に売上の仕訳を記載します。売上計上を行うタイミングは、商品やサービスの提供が完了した時点で行うことが多いですが、業種によってもさまざまです。
入金確認と消込作業
請求書を送付した後は、入金確認です。入金予定日に銀行口座の入金状況を確認し、金額や日付が正しいかチェックします。売掛金が複数ある場合は、振込名義人と金額を確認して、どの売掛金に対する入金なのかを慎重に判断しましょう。
無事入金が確認できたら、消込作業を行います。消込作業とは、確認した入金情報と照らし合わせ、帳簿上の売掛金を消していく作業です。
万が一、入金された金額と請求額が合わない場合は、振込手数料の負担先の誤認や振込金額の入力ミスなどが考えられます。まずは自社側で処理上のミスがないか確認し、ミスがなければ取引先に問い合わせてみましょう。
督促と再請求のタイミング
支払期日から3日〜1週間程度経過しても入金が確認できない場合は、メールで督促の連絡を行います。単なる入金漏れの可能性もあるため、最初は丁寧な言葉遣いで確認する姿勢を示すことが大切です。
その後も入金がない場合は、1回目の督促から3日程度空けて2回目の連絡を入れます。さらに支払いが滞る場合は、電話や書面での督促も併用するなど、段階的にアプローチを強化していきましょう。ただし、取引先との関係性を考慮しつつ、状況に応じて柔軟に対応することが重要です。
回収状況の管理と分析
売掛金の回収漏れを防ぐために、一定期間ごとに「入金漏れや差額が発生していないか」「支払期限を過ぎても支払われていない売掛金がないか」を確認しましょう。取引先別に売掛金残高一覧表を作成しておけば、毎月の未入金や差額が見つけやすくなります。補助科目の活用や会計ソフトの導入でも、確認作業の効率化が可能です。
また、取引先の財務状況把握も重要で、支払い遅延の兆候があれば早期対策を行いましょう。自社に最適な管理・分析方法を整えることが、資金繰りの安定化と黒字倒産の防止につながります。
売掛金が回収できない場合の対処法
売掛金の回収が滞る場合、段階的なアプローチが必要です。以下では、これらの対処法について詳しく解説します。正しい対処手順を知り、未回収のリスク低減を目指しましょう。
まずは支払いが行われていない旨を伝える
売掛金の回収が遅れている場合、まずは支払いが行われていない旨を取引先に伝えます。単純な処理ミスである可能性も考えられるため、営業担当者から連絡を取り、支払いの遅延理由や納品内容に問題がないかを確認しましょう。
この際、取引先との良好な関係を維持しつつ、未払い状況の解消を促すことが大切です。初期対応を丁寧に行うことで、その後の回収プロセスをスムーズに進めることができます。
決算書の提出・債務確認書の作成を依頼する
連絡を行っても支払いがされない場合、取引先の財務状況が悪化している恐れがあります。このような状況では、決算書の提出を求めることが有効です。
決算書を分析することで、取引先の資産状況や支払い能力を客観的に判断できます。特に注目すべきは、流動資産や負債の状況です。これらの情報は、万が一の場合に差し押さえによる回収が可能かどうかを判断する材料となります。
次のステップとして、債務確認書の作成を依頼しましょう。債務確認書とは、未払い金額や支払期日を明記し、取引先に署名してもらう文書です。これは法的な証拠としても機能し、後々のトラブル防止にも役立ちます。債務確認書を入手することで、売掛金回収の確実性が高まり、法的手段を検討する際の強力な根拠となります。
内容証明郵便の活用方法
上記の手続きを行っても売掛金を回収できない場合、内容証明郵便を利用して支払いを促すこともできます。内容証明郵便は、文書の内容と発送日時を郵便局が証明するため、法的な証拠能力が高いのが特徴です。
催告を行った証拠として内容証明郵便を使用することで、後に裁判になった場合も有効な証拠となるほか、訴訟の準備もスムーズになります。また、支払いを行わない取引先に対して、法的措置を視野に入れているというアピールにもなり、支払いを促す効果が期待できます。
法的手段(仮差し押さえ・訴訟)を行う
内容証明郵便を活用しても未払いが続く場合は、法的手段を取ることになります。法的手段を用いた回収では、「仮差し押さえを行ってから訴訟」が基本です。
訴訟の前に仮差し押さえを行うことで、判決が出るまでの間に、財産や資産を隠したり処分したりして売掛金が回収できなくなることを防げます。また、最終判決後の回収手続きがスムーズになるのもメリットです。
訴訟には通常訴訟のほか、売掛金が60万円以下の場合に行える「少額訴訟」もあります。少額訴訟は個人で行うことも可能で、通常訴訟より判決が下るまでの期間が短く、低コストなのが特徴です。法的手段は、状況に応じて適切なものを選択しましょう。
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未回収リスクを軽減するための予防策
売掛金の未回収が発生すると、督促や法的手段などに多くの時間を費やすことになります。スムーズに回収を行うには、未回収リスクを軽減する予防策を講じることが大切です。
ここでは、効果的な与信管理の方法、契約書や取引条件の見直しポイント、そして前払いや保証金の活用について解説します。それぞれの予防策の特徴と導入のポイントを押さえ、回収率アップを目指しましょう。
与信管理を強化する
与信管理とは、取引先の支払い能力を事前に確認し、リスクを評価するプロセスです。具体的には、取引先の過去の信用情報、経営内容、財務状況などを調査し、信用度を分析します。この際、信用調査会社の情報や自社内の取引履歴も活用可能です。
調査結果に基づいて、取引の可否や取引額の上限を設定することで、未回収リスクを回避します。取引先の経営状況は常に変化する可能性があるため、与信管理は取引開始前だけでなく、取引開始後も継続的に行うことが重要です。
契約書や取引条件の見直しポイント
売掛金の未回収リスクを軽減するには、契約書や取引条件の見直しが重要です。代金額を明確に記載し、「期限の利益喪失条項」を盛り込みましょう。
期限の利益喪失条項とは、1つの売掛金で期限内に支払いが行われなかった場合、支払期日が来ていないその他の売掛金についても支払い義務を求められるというものです。これを導入することで、複数の売掛金がある場合でも迅速な請求が可能になります。
さらに、支払期日の見直しや債権譲渡に関する条項の確認も検討すべきです。インボイス制度導入に伴い、免税事業者との取引条件見直しも必要になる場合があります。
前受金や売掛保証を活用する
前受金や売掛保証の活用は、未回収リスクを軽減する効果的な方法です。
前受金とは、商品やサービスを納品する前に代金の一部または全部を受け取ったときの勘定科目で、「手付金」や「内金」とも呼ばれます。一方、売掛保証は、倒産など何らかの理由で支払いが遅れる・回収できなくなるといった場合に、取引先に代わって売掛金を保証してくれるサービスです。
これらの方法は、新規取引先や信用度の低い取引先との取引で特に有効です。ただし、取引条件の途中変更は取引先との関係性に影響を与える恐れがあるほか、売掛保証では取引先の与信審査が必要であるなどいくつかの懸念点もあるため、慎重に導入を検討しましょう。
売掛金には時効がある点に注意!
売掛金には時効があり、一定期間が経過すると請求権が消滅してしまいます。2020年4月の民法改正により、売掛金の時効期間は原則として「支払期限から数えて5年」となりました。
この時効を防ぐには、時効の中断・更新措置を取らなければなりません。時効管理は煩雑になりがちですが、取引先ごとの債権管理体制を構築し、請求内容や入金状況を管理できる環境を整えることが大切です。
集金代行サービスで売掛金の未回収リスクを低減しよう
売掛金回収業務を効率化し、未回収リスクを低減する効果的な方法として「集金代行サービス」の利用が挙げられます。ここでは、集金代行サービスの概要と、おすすめしたいリコーリースの集金代行サービスについて紹介します。
集金代行サービスとは
集金代行サービスとは、代行業者が事業者の代わりに、商品代金やサービス利用料などを回収するサービスです。回収した代金は、代行業者から事業者の口座へまとめて振り込まれるため、取引先ごとに集金業務を行う必要がありません。また、入金日が統一されるため、入金管理も簡素化されます。
取引先と直接現金をやりとりすることがなくなれば、盗難・紛失・事故・金額ミスといった現金集金のリスクも減らせるでしょう。
また、集金代行サービスでは、集金方法として口座振替やコンビニ決済が利用されるのが一般的です。どちらも便利な方法である一方、金融機関やコンビニチェーンごとの審査・契約が必要なため、導入手続きが大変なのが難点といえます。
しかし、集金代行サービスを利用すれば、代行業者との契約によって、代行業者が提携している金融機関やコンビニチェーンでの代金回収が可能になります。複数の集金手段を比較的簡単に導入できるのも、集金代行サービスのメリットです。
集金代行サービスについてさらに詳しく知りたい方は、以下のページもご覧ください。
関連記事:集金代行サービスとは?おすすめの理由や集金代行業者の選び方を解説!
リコーリースが提供する集金代行サービスの魅力
中小企業やベンチャー企業にとって、売掛金の未回収は深刻な問題になり得ます。未回収リスクを低減したい、安定した経営基盤を築きたいという方は、ぜひリコーリースの集金代行サービスをご利用ください。
導入実績が20,000社を超えるリコーリースの集金代行サービスは、さまざまな業種での導入事例があります。業種ごとの課題に対してどのような提案を行ったかが確認できるため、集金代行サービスによって得られるメリット・効果を詳しく知りたい方にもおすすめです。
また、リコーリースの集金代行サービスはコストを抑えて導入できる点が魅力です。代行業者によっては、利用に際してシステム構築や専用ソフト購入などの初期費用が発生することもあります。
しかし、リコーリースの集金代行サービスは専用Webサイトを利用するため、初期費用がかかりません。インターネット環境があれば、契約後すぐに利用を開始できます。
使用しない月は月額基本料を含む手数料も無料で、請求件数にも縛りがありません。1件から利用可能なので、個人事業主や開業したばかりで取引件数が少ない方でも安心してご利用いただけます。
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まとめ
売掛金は事業の資金繰りに重要な影響を与える要素です。回収が困難な場合は、法的手段を含め、さまざまな手続きを行う必要が生じます。資金面だけでなく、業務負担を軽減するためにも、未回収リスクを低減する予防策を講じることが重要です。また、売掛金には時効がある点にも注意しましょう。
売掛金を効率的に回収する方法として、集金代行サービスの活用が挙げられます。「未回収リスクを低減したい」「回収業務の負担を軽減したい」という方は、20,000社以上の導入実績があるリコーリースへご相談ください。専用のフリーダイヤルにて、導入前から導入後までを丁寧にサポートいたします。
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