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売掛金とは? 処理方法から個人事業主が気になる疑問点まで詳しく解説!

2022.07.20

2024.10.24

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多くの企業がビジネスを行う際には、商品やサービスを売掛金で販売します。個人事業主や小規模事業者においてもそれは例外ではありません。しかし、売掛金を用いた取引の方法を間違えてしまえば、損失を抱えてしまったり、最悪の場合は黒字倒産を引き起こしてしまったりするリスクがあります。今回は、売掛金とは何か、売掛金をどう処理すれば良いのかなどについて、よくある疑問への回答を交えながら解説します。

売掛金とは

売掛金は、ビジネスの世界においてはサービス業や製造業、卸売業など、様々な業界で活用されています。この売掛金があるからこそ、顧客側は後払いや一括払いを行うことが可能です。まずは、売掛金の意味や、売掛金を含めた「信用取引」とは何か、売掛金に似ている勘定科目にはどのようなものがあるのか、といった事柄について見ていきましょう。

売掛金の意味

「売掛金」とは、会計処理において用いられる勘定科目のひとつです。商品の販売やサービスの提供を行う際に、代金をその場ではなく後日受け取ることがあります。こうした形で行われる取引を「掛け」と言い、売り手の立場で掛けの取引を行うことを「掛売り」と呼びます。掛売りを行った場合は一時的に商品やサービスの提供に対する対価が未回収の状態となりますが、この未収分のお金を会計処理で計上する際の勘定科目が「売掛金」なのです。身近な例を挙げれば、商品やサービスを購入した代金の支払いを後日行う「ツケ払い」や「後払い」、車や家などを購入する際に代金を複数回に分けて支払う「分割払い」等といった支払い方法において売掛金が発生します。

少し専門的な言い回しをするならば、売掛金とは「売上の対価として、将来にその代金を受け取る権利」です。財務諸表上の扱いとしては、流動資産である当座資産として、貸借対照表の資産の部に計上されます。売掛金の管理を行う際には、取引先ごとに「売掛金元帳」を作成し、売掛金の発生と売掛金に対する入金をこの売掛金元帳へと転記していく形が一般的です。手形などと違って証書を発行するわけではないため、取引先との信用があって初めて成立する「信用取引」に分類されます。

売掛金で取引をする理由

売掛金での取引は、代金の支払いが遅れてしまったり、代金が支払われなかったりするリスクが存在します。にも関わらず、相手に信用を与える形で取引を成立させる掛売りが行われるのには理由があるからです。そもそもBtoB(事業者同士)の取引では、商品やサービスの売買を行った際に即座に支払いが行われることは極めて稀な事例と言えます。そのため、掛売りを導入していない事業者ははじめから取引の対象としてみなされない事も大いにあり得るでしょう。

取引が行われるごとに支払いを行った場合、売り手と買い手の双方で手続きや経理上の処理を行う必要がありますから、取引回数が多ければ多いほど、手続きや経理上の処理の回数も増え、煩雑になってしまうのです。そこで、BtoBの取引においては、商品やサービスの提供を受けた際にその都度支払いを行うのではなく、一定期間内に行われた商品やサービスの提供について一括で代金の支払いと回収を行うことで、手続きや会計処理の効率化を図っています。

また、売掛金での取引を行うことで、現在手元に購入資金が無い場合でも取引が可能である他、手持ち資金を超える高額な取引を行うことも可能です。現在の資金が足りない場合でも、将来入金される収益を購入資金に充てるといったことが可能となるため、資金不足が理由で取引を拒絶されてしまう可能性は低くなります。つまり、機会損失を回避するためにも、事業者同士の取引では掛払いの方が都合がよいのです。

売掛金と似ている勘定科目

売掛金と名前や性質が似ている勘定科目には、「買掛金」「未収入金」「前受金」「立替金」などがあります。いずれも売掛金と混同しがちですが、それぞれ異なる性質を持っているため注意しましょう。

「買掛金」は、売掛金とは逆に掛取引で購入した商品やサービスの代金など、後から支払いを行う必要がある代金のことです。「購入の対価として、将来にその代金を支払う義務」であり、いわゆる債務の一種です。貸借対照表上では売掛金が流動資産として計上されることは先述のとおりですが、買掛金は流動負債として負債の部に計上されます。

「未収入金」は、営業活動以外の取引で未回収となっている代金のことを指します。例えば、自社が保有する不動産や有価証券を他社に売却した際の代金は未収入金となります。取引がすでに行われていて、代金が未回収であるという状態自体は売掛金と共通です。売掛金と未収入金との相違点は「その取引が営業活動か否か」の一点となります。自社の本業の中で商品やサービスを提供した際の代金は売掛金、有価証券や不動産などといった自社の本業ではない取引で自社が受け取ることになった代金は未収入金となるのです。

「前受金」は、商品やサービスの提供を行うにあたって、実際に提供が行われるよりも前に対価として先方より支払われた金額を指します。手付金などのように、対価の一部だけを受け取った場合もこの前受金という勘定科目が使用されます。売掛金と同様に商品やサービスの提供の対価という点は共通していますが「支払いが発生するのが商品やサービスの引き渡しより前か後か」が売掛金と前受金を区別する点です。売掛金は引き渡しより「後」、前受金は引き渡しより「前」となるため注意しましょう。

「立替金」は、支払い当事者が実際の支払いを行う代わりに、一時的に立て替えを行った際の勘定科目です。例えば、本来であれば従業員が支払うべき雇用保険料を、会社側が支払いを立て替えた際には、この「立替金」の勘定科目を使って会計処理を行います。取引先との間でも立替金が発生するケースがあり、例を挙げると本来取引先が負担するべき発送費を一時的に立て替えた場合にはこの立替金を利用することになるでしょう。「受け取る権利がある金銭債権」という意味では売掛金と同様ですが、売掛金は「商品やサービスの売上によって発生する債権」を指すもので「代金を立て替えることで発生する債権」を指す立替金とは意味合いが異なるのです。

売掛金の処理方法

売掛金を処理する大まかな流れは、売上計上、消込作業、残高確認の3ステップです。取引を行った結果売上があった場合に売掛金を計上し、入金があり次第売掛金を消し込み、残りの売掛金がどれだけあるかを定期的に確認する、という形で進めます。現金取引でない個人事業主にとっては、売掛金がほぼそのまま売上を意味しますから、適切な処理を心がけたいところです。以下では、売掛金の処理方法について、ステップごとに解説します。

売上計上

商品やサービスに関する取引が行われた場合、売上を帳簿に反映する必要があります。これが「売上計上」です。商品やサービスの提供が完了した時点で行うことになりますが、具体的に「どのタイミングで売上が発生したとみなすか」には様々なパターンがあります。商品を出荷した日付を基準とする出荷基準、取引先への引き渡しが完了した日付を基準とする引き渡し基準、取引先が検収を行った日付を基準とする検収基準といったものが代表的ですが、納品書や請求書を送付した時点で売上計上を行うという方法もあります。業種によってはこの売上計上のタイミングが税法によって定められている場合があるため、税理士に相談して確認を取るとよいでしょう。

先述したように、売掛金は「売上債権」、即ち売上の対価として将来的にお金を受け取ることができる権利であり、こうした債権は資産に分類されます。よって、帳簿へ記録する場合は、貸借対照表の資産の部に記録するようにしましょう。取引先ごとに売掛金元帳に一旦記帳して管理を行い、後述する残高確認の際に一括で貸借対照表へ転記するという方法もあります。会計ソフトなどでは帳簿の作成や転記をある程度自動で行っている場合もあるため、会計ソフトを使用する際はソフトの仕様を確認して、どのような方法で売上を計上しているかを把握しておくとよいでしょう。

消込作業

取引先から入金があった場合「消込作業」というものを行う必要があります。この消込作業とは、売上計上の際に帳簿に反映した売掛金の中から実際に来た入金に該当するものを照らし合わせて、入金のあった売掛金を消し、債権を0にするというものです。具体的な会計処理としては、売上計上の際に借方に記載した売掛金を、貸方に仕訳することで消去します。

売掛金が複数ある場合、どの売掛金に対する入金なのかを入念に確認しなければなりません。振込名義人と金額を確認して、ミスがないように注意しましょう。取引先ごとに入金の期日が異なりますから、事前に取引先に期日がいつになるかを確認するのがおすすめです。万が一、売掛金の入金額と請求額が合わない、期日まで入金がないなどのトラブルが発生した場合は、原因がどこにあるのかを慎重に突き止めましょう。原因を精査した結果、自社側の処理上のミスであれば直ちに修正を行い、もし自社側にミスがなかった場合には直ちに取引先に対して問い合わせを行ってください。

残高確認

売掛金は「どの取引先にどれだけあるか」をきっちりと管理することが重要です。そのため、1ヶ月毎など期間を決めて、定期的に売掛金の残高を確認する必要があります。この確認作業こそが、売掛金の会計処理における「残高確認」のステップで行われる具体的な作業内容です。取引先ごとに売掛金残高一覧表を作成し、支払期限を過ぎても未入金になっているものがないか、売掛金の記入漏れや差額の発生がないかをチェックします。売上計上の際に説明した「売掛金元帳」は、この時に売掛金残高一覧表として使用することが可能です。確認の結果、問題がなければ売掛金元帳に記録された現状の売掛金残高を貸借対照表へと転記します。

売掛金が増えていくと、それだけ確認作業も煩雑になっていくため、効率よく確認するための工夫が必要です。取引先ごとに売掛金の補助科目を設定しておいて、補助科目ごとに確認を行うようにすると効率よく確認できます。また、会計ソフトを利用すれば残高確認を省力化するためのさまざまな機能を利用することができるため、この残高確認が面倒だと思った場合は導入を検討するとよいでしょう。

個人事業主が気になる売掛金の疑問点

売掛金について、なんとなく知っているという状態で業務を行っている個人事業主の人も少なからずいることでしょう。しかし「生兵法は大怪我のもと」という諺があるように、売掛金について中途半端に理解した状態では、かえって思わぬリスクを背負ってしまう可能性があるので注意が必要です。以下では、個人事業主が気になる売掛金の様々な疑問点を解決していきましょう。

売掛金と買掛金は相殺してもよい?

売掛金は債権であり、買掛金が債務であることは先述したとおりです。この2つを差し引きして帳消しにする「相殺」という処理が可能かどうかについてですが、結論から言えば「可能」です。ただし、一定の条件を満たす必要があります。その条件とは「売掛金と買掛金の取引先が同じであること」「事前に先方の了承を得ていること」の2つです。

例えば、A社が継続して取引を行っているB社に対して、100万円の売掛金と50万円の買掛金があったとします。その場合、この両者を相殺して、残りの売掛金50万円を請求する、ということが可能です。この相殺には、支払金額を減らすことができるというメリットがA社とB社の双方に存在します。そのため、取引の際に予め相殺できることを契約内容に盛り込んでいるケースが多いです。

売掛金に時効はある?

支払いが行われないままの売掛金が長期間放置されてしまった結果、その権利が消失してしまうということがあります。この権利の消失が「売掛金の時効」です。2020年4月に改正された民法第166条によれば「売掛金の支払期限から数えて5年」で時効となり権利が消失します。ただし、改正前となる2020年4月以前に発生した売掛金については「売掛金の支払期限から数えて2年」がタイムリミットとなります。

滞納を放置すると時効となり請求できなくなってしまいますから、これを防ぐためにも時効更新措置を取らなければなりません。時効更新措置とは、債務者に対して訴訟を起こす、民事調停を申し立てる、裁判所を通じた支払督促を行う、債務を承認してもらう、売掛金の一部を債務者に弁済してもらうといった方法で、時効をリセットさせることです。上記の方法のうち「債務の承認」と「売掛金の一部弁済」の2つの方法については債務者側の協力が必要不可欠となります。また、民事調停の際は裁判所が間に入ってもらえますが、最終的には債権者と債務者双方の合意が必要です。債務者が協力的でなく、話し合いにも応じてもらえない場合は、訴訟か支払督促のいずれかを選ぶことになります。

さらに、時効更新措置ほど強力ではない手段ではありますが、内容証明郵便による督促を行うことで、時効を6ヶ月延長することが可能です。民法153条に定められている「催告」という制度で、いくつかの条件が定められています。内容証明郵便で送付する他に、先方にきちんと届くこと、催告を行った6ヶ月後に正式な時効更新措置を行うことが条件です。ちなみに、この催告による時効の延長は「時効完成猶予措置」と呼ばれます。

売掛金が回収できないときはどうする?

売掛金が回収できない場合、売上が上がっているにも関わらずキャッシュフローが悪化して、資金繰りができずに黒字倒産してしまうというリスクが発生します。先述したように滞納した取引先に対して訴訟を起こすことで時効による消滅を避けることはできますが、全額回収できない可能性もありますし、訴訟のための費用もかかる点にも注意しましょう。また、貸倒処理を行えば、利益の額を減らすことで税金の支払いを圧縮できるため、黒字倒産のリスクを低減できます。しかし、税法上の一定の要件を満たす必要がある点に注意が必要です。

最も重要なことは、日頃からきちんと支払いを行ってくれる会社と取引を行うことです。取引先の財務状況を常に把握し、万が一入金が滞るようならば早めに取引を打ち切るようにしましょう。もちろん、入金が1回滞った場合は単に取引先がたまたま入金を忘れてしまっただけという可能性もありますから、勝手に決めつけずに一度連絡を取るのが先決です。

売掛金の処理をラクにする方法は?

取引先が増えたり、取引額が大きくなったりすると、売掛金の会計処理が煩雑になっていくのが課題となるでしょう。それでも手作業で会計業務をこなそうとすると、時間や労力が必要となるだけではなく、ミスを引き起こすリスクが高まります。会計ソフトを導入すれば、こうした会計業務の効率化を図り、管理も楽になりますが、経理に関する業務そのものが無くなるわけではありません。本業に専念したいけど、会計業務が足かせになってしまう、というのは個人事業主によくある悩みと言えるでしょう。

その場合は、経理担当を雇って経理業務を全て任せる、税理士や会計事務所と契約する、経理代行専門業者にアウトソーシングを行うなど、様々な手段で会計業務を他に任せてしまうという選択肢があります。どの方法もメリットとデメリットが存在しますから、自分の状況と照らし合わせて最適な方法を選ぶようにするとよいでしょう。

売掛金を正しく理解して適切に処理をおこなおう

売掛金は多くの個人事業主の取引にも関わるものですから、正しい理解と適切な会計処理が重要となります。しかし、売掛金の処理は煩雑なため、事業の拡大と共に経理業務を楽にする方法を考えましょう。リコーリースでは個人事業主向けの集金代行サービスを用意しています。経理業務から解放されたい場合は、ぜひ利用を検討してみましょう。まずはフリーダイヤルもしくはお問い合わせフォームから、お気軽にお問い合せ下さい!

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